脳出血 くも膜下出血 脳梗塞(のうこうそく)

脳疾患の前兆、症状とチェック

肥満と脳疾患

項目名の肥満と言う言葉をみて、ぎょっとしてご自分のお腹をご覧になった方、少々お待ちいただきたい。

筆者がこの項で取り扱う「肥満」は、医学的に見て治療もしくは、生活の改善を行わないと、早晩当事者の寿命を縮めかねない、または他の標準体重の人に比べ、生活習慣病による健康被害を起こす確率が上がる肥満のことだ。

個人の主観による、服のサイズが上がったから「太った」と言った美容体重の肥満ではない。

自分が肥満しているかはローレル指数、BMI等を用いて「客観的な」判断をしていただきたい。

治療すべき、本当の肥満は、狭心症、糖尿病とそこに続く腎疾患、肝硬変等様々な疾患のリスクを増加させると言われている。

今回ご紹介しているくも膜下出血もご他聞に漏れず、と申し上げたいところだが、実は肥満とあまり関係がないか、むしろ真逆の関係にあるのではないかと言われている。

つまり、くも膜下出血はやせ気味の人に多い病気だとされているのだ。

特に、血圧が高い人、喫煙の習慣がある人、親族にくも膜下出血で亡くなった人がいる人はハイリスク群とみなされる。

しかし、これは「太っていれば安心」と言う事ではない。

あくまで統計学に基づいた数字の上で、相関性が薄い傾向にあると言うだけの話であるし、同じ脳の病気である脳梗塞、脳卒中は肥満している人のリスクが高い病気であるからだ。

痩せすぎず、太りすぎず、標準の体重が「丁度良い」体重だと言うことなのかもしれない。

脳疾患の検査、脳ドッグを受けてみよう

突然だが、読者諸兄、諸姉はご自分の脳を見たことがお有りだろうか。

筆者の手元には、筆者の脳の写真がある。

以前、頭痛が酷く脳神経外科、神経外科でCTおよびMRI撮影をしてもらった時のことである。

このように、何か体調の変化が無い限り、市井の人が自分の脳を見る機会は滅多にない。

しかし、死亡率が比較的高いくも膜下出血においては、その変化が起きてしまってから検査をしたのでは遅すぎると言われている。

そのため、読者の皆様には少し費用が掛かるが、脳ドッグで頭部の画像を定期的に撮影してもらうことをお勧めする。

料金は医院によるが、相場は数万円~10万円以下である。

検査と言うと、痛いのではないかと言う心配をする方がおられるかもしれないが、脳の検査では痛みの心配はまずない。

どの検診でもある採血(血液は大事なデータベース)や、造影剤を入れて撮影することになった場合は、痛みが出ることもあるが、それは注射の痛みで、脳の検査自体の痛みではない。

頭部の画像を取るときには、機械が動く音が少しうるさいこともあるが、数十分ほどの辛抱なので、安心していただきたい。

これは検診全般に言えることだが、検査を受けるときには、前開きで着脱しやすい服を着ることが望ましい。

病院によっては検査着を貸してくれるところもある。

これは私見だが、検診の際にはタオルと普段使っている携帯用クレンジングを持っていくとよいだろう。

超音波エコーの際にはプロープを滑らせるために潤滑剤を使うからだ。

勿論、看護師が検査が終わったら拭いてくれるが、気になる人は念のため。

脳が先?体が先?

私達には心がある。

それは皆様ご存じだろう。

では、心はどこにあるのだろう。

指でさしてみて頂きたい。

こういう質問をすると大体の方は、頭か胸元を指さすと言われている。

頭部は感情の統制を行う脳があるし、心臓は「心」の臓。

ハートマークも心臓に似せて作られたもの。

成程一理ある。

さて、正解はどちらだろう。

答えは「分からない」予想されていた方も多かったのではないか。

訳のわからない禅問答をさせるなとおしかりを受けそうであるが、実はこれ、医学者、生理学者、哲学者が数千年単位で悩みぬいてきた大きなテーゼなのである。

特に有名なのは身体の変化が脳の反応より先に起きるとしたジェームス・ランゲ説だ。

彼らの説によれば、緊張しているから動悸が早くなるのでは無く、動悸が早いから緊張するのだと言うことになる。

これは卵と鶏の関係性と同じように、根本的なおかつ答えのない問題だ。

心がどこにあるか、精神活動において体と脳どちらが優位に働くかと言うことが、脳死や臓器移植の先行きを大きく変えることは予見できる。

脳疾患を経験された方の中には、病前病後の性格が変わってしまったと言う人もいる。

このようなケースは、脳の理性を司る部分に損傷を受けた時によく起ると言われている。

脳の表層に打撃が出るくも膜下出血では頻度が少ないとみられるが、まったく可能性が無いとは言えない。

これもまた変わる前が本当のその人の気質なのか、変わってしまったその状態が本当のその人の気質なのかと言う疑問を生み出すが、誰にも答えらえないと言うのが医学の現状である。

脳疾患のリスクを高める生活習慣

病気を引き起こす行動として誰もが思い浮かべるのが飲酒と喫煙だろう。

また、別項で取り上げた肥満を思い浮かべるかもしれない。

これらの事は、現実に動脈硬化を進めたり、高血圧をひき起こしたりして脳疾患のリスクを高めると言われている。

ただし、心得違いをしてはならぬのは、「どちらかと言うとこういう行動をとる人の方がリスクが高い」と言うだけの話で、すべての人は殆ど総ての病気(但し、異性の生殖器疾患だけはのぞく。無い物は病気にかかりようがない)に罹患する可能性があると言うことを肝に銘じておく必要がある。

「自分は酒もたばこもやらないし、痩せているから大丈夫」と不摂生をすると、とんだしっぺ返しを食らうことになるかもしれない。

脳出血の引き金になる行動としては、入浴なども挙げられる。

浴室と他の部屋の温度差が大きいことによって血管に負荷がかかり、発作が引き起こされる「ヒートショック」はご存じの方も多いだろう。

他に重いものを急に持つ、突然走る、大声を出すと言った行動でも血管が切れることがあると言われている。

妊婦の場合、出産のときにいきんだことで脳出血が起きることもある。

さて、少々尾籠な話で恐縮だが、読者の皆様の中に便秘で悩んでいらっしゃる方はおられないだろうか。

心あたりがある方は早めに解消した方がよいかもしれない。

便秘は高血圧と関連があると言われている。

また、脳出血のきっかけが排便しようといきんだことと言う事例の報告の頻度も高いので、少し注意が必要なようだ。

脳疾患の疑い!、こんな頭痛に要注意

頭痛は誰にでも起こりうる現象だ。

頭痛を症状とする疾患は多く、今回ご紹介するくも膜下出血のような深刻な疾患から、感冒つまり風邪まで様々なものがある。

頭痛の中には放置していても勝手に治るものがある。

例えば夏場、かき氷を食べてキーンとなる。

これはアイスクリーム頭痛と呼ばれており、時間がたてば治る。

ご婦人の場合、生理前もしくは始まった後に頭痛を感じることがある。

これは経行頭痛と呼ばれ、ホルモンのバランスが崩れることによって起きる頭痛である。

こちらも月経が終われば改善することが多い。

他にも、髪をきつく結び過ぎたがために起きる頭痛、眼鏡の度があっていないがために起きる頭痛等があるが、いずれも原因を取り除くことによって改善する。

お酒を召す方は、宿酔いの頭痛を経験したこともあるのではないか。

では、特に理由が頭痛が長く続く場合、どうしたらよいのだろうか。

慢性化しやすい頭痛の代表格は、頭の片側だけが痛む片頭痛だ。

特徴としては、冷やすとおさまるが、温めたり血行を良くしたりすると悪化すると言う性質を持つ。

頭痛に対応するには、鎮痛薬を用いることが最も手っ取り早い手法だが、薬を飲んでも一向に収まらず、時間と共に痛みが強くなる場合は、脳や神経系統の疾患が疑われるので、病院で検査をしてもらった方がよいそうだ。

受診科は内科、神経内科、脳神経外科などである。

少し規模の大きい病院だと、頭痛外来を設けているところも多いので、頭痛に悩んでいる方は受診を検討されることをお勧めする。

脳はコンピューター?

読者諸兄、諸姉はおそらく、この文章をパソコン、携帯電話(スマートフォン)、電子タブレット電子端末でご覧になっていることかと思われる。

これらの機材は、インプットされた情報に反応し、解をアウトプットするという形で情報処理を行い、オーナーの指令に応じ、動作をしている。

こうした情報処理の端末には、それが作成されるときにモデルとなったものがある。

読者の皆様も答えを言うまでもなく何となくお分かりになったかもしれないが、コンピューターは、人間の脳をモデルとして、開発がすすめられた機器である。

コンピューターを開発する過程で、人間の脳はどうやって世界を捉えているか、と言うことを学ぶ学問が生まれた。

そのひとつが認知心理学である。

ヒューマンエラー(人為的で防げたはずのミス)を回避するための人間工学も、脳とかかわりなくその研究を進めることはできない。

脳とコンピューターの関わりばかりではなく、私達の生活で使う道具は総て人の動きを模倣そして改良して作られたものである。

例えば、洗濯機は手で洗うのが大変だから生まれた家電であるし、ガスコンロは火打石で火を起こす代わりにつまみを動かして火を起こす。

いずれも初めに「人」ありきであることに変わりない。

私たちは、脳によって考え、脳によって愛し、脳によって食べ、そして排泄し、様々な労働をする生物である。

先ほどあげた携帯電話を使って喩えをすると、携帯電話は体、操作する人が脳にあたる。

携帯電話(体)は様々な機能を持っているが、それ単体では何もすることができない。

誰かが触って初めて、その機能を果たすのである。

脳について考えることは「人間」を考えることでもあるのだ。

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