脳梗塞(のうこうそく)

脳梗塞の予防と治療の方法

脳梗塞 内科的な薬物療法

発症したばかりの脳梗塞の治療は、内科的な薬物療法を中心に行われます。

ただ、生命に危険のある緊急な時は手術が行われます。

脳梗塞になって3時間以内の場合は血栓や塞栓を溶かす薬を使って治療し効果を上げています。

脳梗塞の治療に使われる薬には、
「脳のむくみをとる薬:抗脳浮腫薬」
「血栓を溶かす薬:t―PAコラム」
「血小板の凝集を阻害する薬:抗血小板薬」
「再発を防ぐ薬:抗血栓薬」
「有害物質を除去する薬:脳保護薬」などがあります。

現在では、医療技術も進み設備の整った専門病院に早期に入院した患者さんでは、脳梗塞の発作そのもので亡くなる人は著しく減って10%以下となっています。

一度目の発作を起こした人のおよそ45%の人が完全に社会復帰を果たしています。

しかし、発作を繰り返し2度目、3度目となると何らかの後遺症が残ったり、車椅子の生活を余儀なくされるなどをします。

しかし昔は脳梗塞は3分の1の人が亡くなり、3分の1の人が重い後遺症に悩まされたといいますから、それから比べるとかなり良くなっているといえます。

しかし、発症後1年以内に10人に1人の割合で再発をし、再発すると半身不随とか、寝たきり、認知症になるなどの原因になります。

脳梗塞の急性期には「抗血栓療法」「脳保護療法」「抗脳浮腫療法」などの方法での治療が行われます。

抗血栓療法には、抗血小板療法で血小板の働きを抑えて血栓ができるのを防止します。「抗凝固療法」はフィブリンができるのを防止します。

近年の治療法は血栓溶解剤を用いた「血栓溶解療法」での治療が主流です。

脳保護療法は、活性酸素の働きを防止する薬剤「エダラボン」を使用しての治療が行われます。

24時間運以内に治療を始めることで後遺症の残り方がまるで違ってきます。

再発する可能性の大きい脳梗塞ですから、治療は今現在の症状の改善とともに、再発予防の治療とが合わせて行われます。

脳梗塞 脳外科での手術

脳梗塞の治療の多くは薬物を使っての治療になりますが、生命の危険があるときは緊急の手術が行われます。

外科の手術が超急性期に効果を現すのは、小脳の部分にできた大きな梗塞があるときや、大脳全体が梗塞のため大きくふくれ上がり生命の危険がある時だけです。

しかし、命に危険があるときでも、小さい病院や脳外科専門の病院でなければ手術は無理で、転院するにも動かしたことで返って生命に危険が出てくる場合もあります。

脳梗塞よって完全に障害されてしまった脳細胞は、どんな薬を使ってもどんな手術を施そうとも、今現在の医学では元通りに回復させることはできません。

ですから、一旦障害の出た半身不髄などの症状の回復は、一般的には極めて困難です。

少しでも改善するにはリハビリティーションが効果があります。

しかし、比較的高齢の患者さんが多い脳梗塞では、リハビリを頑張る気力体力とも乏しく困難があります。

私が以前勤めていた会社の男性は脳梗塞で倒れてから回復し仕事にも復帰しました。

しかし、1年後に再発してからは職場復帰はできませんでした。

1度目は軽い手の障害が残っただけでしたが、再発した後は半身部髄になり、脳梗塞の後遺症で言動がおかしくなったほか表情も変わってしまいました。

60歳前の男性だっただけに痛々しく、家族にとっては手術で何とかならないものかと必死で考えたそうです。

しかし、その一方では早期発見で首の周りの動脈が詰まっているのをバイパス手術を行って、後遺症もなく回復している幸運な人もいます。

早期発見と優秀な外科医がいる専門病院だという幸運が重なっての結果と言えます。

脳梗塞 再発の予防

脳梗塞は誰でも罹る可能性の大きい病気で、そのうえ命に危険があるほか、重大な後遺症を残す怖い病気です。

特に中年から高齢に多く発症します。

高齢になって体力が低下してということももちろんありますが、長年にわたっての脳梗塞を起こしやすい生活習慣の積む重ねが原因と言われることも多くなりました。

やはり、毎日の生活習慣は体のどの部分にも大きく影響してくるのです。

脳梗塞は一旦発症すると、ほとんどの患者さんが再発をする恐れがある病気です。

そのために再発の予防のために治療が必要で、「アスピリン」などの「抗血小板薬」を毎日服用しなければなりません。

これらの薬物療法では間に合わない場合は外科的手術を行う場合もあります。

なお、心臓が原因となっている「心原性脳塞栓」の再発予防には、抗血小板薬よりも抗凝固薬の「ワルファリン」)などが使われます。

そのため、脳梗塞の細かい病型までをしっかりと診断することが必要なので、脳梗塞の種類を「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」「ラクナ梗塞」の3つに大きく分けて治療と再発防止に役立たせています。

脳梗塞に罹った患者さんの再発は発症後 1ヶ月以内に再発することが多く、1年以内にはおよそ10%の患者さんが再発をしています。

そして5年以内にはおよそ30%の患者さんが再発しています。

ということは、脳梗塞に罹った患者さんは5年以内に3人に 1人が再発をしているということになります。

そして脳梗塞の再発部位は、同じ部位に起こるのではなく、別の脳の血管に起こることが多いのですが、部位が違っても同じタイプの脳梗塞が起こることが多いのが特徴です。

また、脳梗塞の再発は、1度目の発症の時よりも再発した時の後遺症が重症になります。

そして新たな後遺症を起しやすくもなっていますので、再発を予防することが非常に重要です。

脳梗塞の後遺症

脳梗塞は、全神経や体の全機能を司っている脳の細胞がやられてしまう病気ですから、発作後の後遺症もそれぞれの現れ方があります。

なかでも多いのが半身不随になってしまうことでしょう。

半身不随の現れ方は、脳の右側がやられれば体の左側に後遺症がでて、反対に左側の脳がやられれば体の右側に半身不随の後遺症が出ます。

そして皮肉なことに、多くの脳梗塞患者さんは右側に後遺症が出ています。

どちら側良いというものでもありませんが、せめて右側が正常なら、右手で色々なものがスムーズに行えます。

ところが、左ききの人ならいざ知らず、左の手で色々やろうとするのはとても不便です。

ダイエット目的で左の手で食べてみようとしたことがありましたが、上手く食べられず、まるで食べた気がしませんでした。

なので、1日しか続きませんでした。

そして、車いすでなければ生活しなければならなくなった時のことを想像してみてください。

切ないですよね。脳梗塞で半身不随になった私のおじいちゃんは「こんな体になって悔しい!」といつも言って悔しがっていました。

脳梗塞の後遺症はこのほかにも、言語障害が起こったり、認知症になったりと様々な形で障害が出ますが、いまのところ医学でこれらの後遺症を完全になおすことができません。

予防に努める以外手はないのです。予防と言っても難しいことでも大変なことでもありません。

昔の日本人の食事はバランスがよく世界的にも注目されて久しいのですが、今、その日本食を日常の食卓に再現することは可能なのではないでしょうか?

そして、充分な睡眠と適度の運動も心がけ次第で可能ではないでしょうか?

5分もかからない簡単なストレッチが30分間のウオーキングをしたと同じ効果があることも発表されています。

「後悔先に立たず」です。

脳梗塞の後遺症になって苦しむ前に、是非に!とお勧めしたく思います。

脳梗塞の介護

病院では、梗塞の治療を急性期には抗血栓療法、脳保護療法、抗脳浮腫療法などを行ない脳の血管が詰まって壊死しかけている脳細胞を助けるべき治療を施してくれます。

しかし、入院するのが遅かったり、症状の進行が急激に過ぎると、いずれの治療も間に合わず後遺症が残ってしまいます。

それも比較的重い後遺症です。

脳梗塞を発症して入院して、その後は自宅療養になりますが、本人も体の後遺症で辛い、そして、家族の人も大変な介護が始まると思います。

患者さんは患者さんの家族の方は家族の方のストレスを抱えながらの生活が始まります。

家族の方は患者さんがただただ可哀そうと、なんでもやってあげるのではなく、患者さんが自分でできることをなるべく見つけてあげたらどうでしょう。

半身不自由でも探せばできることはたくさんあります。

両手両足が無くても立派に自立して、社会的に尊敬されている人もいます。

字も、右手が使えなくなった場合は、練習次第で左手でも同じようにかけると言います。

練習自体もリハビリになりますし、前のようにかけるようになりたいと頑張る気持ちを持ってもらえたら万々歳ですね。

私も左手で食事をしてみたとき、思うように食べられずイライラしましたし、とても食べた気がしませんでしたし、美味しいなんてさらさら思えませんでした。

食べやすいように工夫された補助食器もたくさんあります。

食器が動かないように食器の下に工夫がされているものとか、スプーンも口に入れやすい形になっているものとか、患者さんに合わせてどんなものが必要か見て揃えてあげたらどうでしょう。

美味しく物が食べられればだんだん元気も出てくるのではないでしょうか。

歩くにも、車いすで移動するにも家の中をあちこち改造したり、手すりをつけたりする必要も出てきますが、そういう費用も行政から補助が出ます。

病院や介護士さんに相談しながら、利用できるのは利用して、家族の方も無理をせず乗り切って行っていただきたいと思います。

脳梗塞のリハビリテーション

脳梗塞を患って、重い後遺症が残ってもその後遺症を完全に解決する手立ては今のところ薬や注射では期待できません。

運動麻痺や感覚障害、言語障害などが残ったとき、解決、あるいは軽くしてくれるのがリハビリテーションです。

このリハビリも口で言うほど簡単ではないのですが、病院ではその患者さんの年齢や症状に合わせてメニューを組んでくれると思います。

脳梗塞で半身不随になった私のお祖父さんのところへ病院から化学療法師の人が家に来てリハビリをしてくれるのを見ていたら、おむつ替えの時の赤ちゃん体操みたいでした(笑)

私のお祖父さんの場合は高齢でしたし、それほどきついリハビリはありませんでした。

しかし、若い人はきついリハビリもするようになります。

リハビリテーションの目的は残された機能を最大限に引き上げて、家庭復帰や職場復帰をすることです。

医学に照らし合わせて科学的に考案されたリハビリを頑張れば社会復帰も可能なのです。

一度完全に失ってしまった機能は完全には元に戻りません。

でも、元のようにはできなくても日常の身の回りのことはできるようになるのです。

たとえば手のない人は足で楽器を演奏するように。

脳梗塞の後遺症で半身不随になり、でも車いすで、自分で身の回りのことから、掃除、洗濯、食事を作っている75歳の男性のことをテレビでやっていたことがあります。

もう10年ほど前のテレビだったのですが、未だに印象に残っています。

本人に強い意志があれば、少々不自由が残っても普通の生活ができるのです。

脳梗塞の後遺症が残ったとき、一番大事なのは諦めない強い意志だとつくづく思います。

私自身、いつ脳梗塞になって半身不随になるかわからない年になっています。

もしそうなったときの心構えだけはしっかり持っていようと思います。

脳梗塞の医学の進歩

昔は脳梗塞は不治の病といわれていました。

しかし医学の進歩で脳梗塞でなくなる人は著しく減少しています。

そして化学的に考案されたリハビリの発達は、社会復帰も可能にしています。

そして、様々な医療器具や介助に機器が考案され、日常の生活にも負担が少なくなっています。

ただ、気になるのは「脳梗塞にならないぞ!!!」という意識をもって生活をしている人は少ないと思います。

厚生労働省でも数年前から盛んに「未病」を呼びかけています。

「病気にならない生き方」が大事なのですが、多くの人が頭の中の知識だけで終わっています。

脳梗塞の予防にしても、今の医学で科学的に裏付けされた予防法が色々な場面で紹介されています。

でも、自分にも脳梗塞になる可能性も承知していますし、予防の知識もしってはいても実行する人は少ないです。

脳梗塞の予防法と言っても、脳梗塞だけの特別な予防法があるわけではありません。

野菜を多く採ったバランスの良い食事、充分な睡眠、適度な運動が脳梗塞をふせぎますが、これは全ての病気に言われていることです。

最近になってストレスも脳梗塞を誘引することが言われています。

急にこれらを全て改善するのは無理かもしれません。

長い間の生活習慣はなかなかすぐには変えられません。

野菜をたくさん採るようにと言っても、低所得者層の家庭では、野菜が高くてなかなか採れないということをテレビのニュースでやっていました。

ただ、野菜は採らず、常に食べたいものを食べたいものだけを食べてメタボになっている人よりもまだましかもしれません。

肥りすぎの人も脳梗塞のリスクが高いのですから。

医学は進歩しましたが、しかし、脳梗塞を発症しての苦しさや、後遺症の辛さは自分持ちなのです。

こればかりは周りの人にも助けられません。

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