脳梗塞 再発を防ぐ

抗血栓療法を継続し、脳梗塞の再発を防ぐ

怖い再発を防ぐには薬物治療と生活改善を

再発を防ぐには、血栓ができて再び血管に詰まらないようにすることが第一です。

そのためには、上のように「抗血栓療法」と「危険因子の管理」が重要な2本柱となります。

抗血栓療法では、血栓を防ぐための薬物療法を行います。

危険因子の管理では、脳梗塞を招く高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、心房細動などの治療と、禁煙、食事や生活習慣などの改善が必須です。

再発予防には、この2本柱が基本であり、どちらかだけでは防げません。

これに加えて、定期的に検査を受けることも大事です。

さらに、発作と思われる症状が現れたら、大至急、神経内科か脳神経外科を受診することが肝心です。

血栓を防ぐ薬は抗血小板薬と抗凝固薬

脳梗塞の再発を防ぐには、血栓をつくらせないことが第一です。

そこで、血液が固まりにくくする薬を用いて「抗血栓療法」を行います。

抗血栓療法に用いる薬には、大きく分けて2つの種類があります。

抗血小板薬と抗凝固薬です。

抗血小板薬は、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞のような非心原性の脳梗塞や、原因が明らかでない脳梗塞の予防に用いられます。

抗凝固薬は、心原性脳塞栓症の予防に用いられます。

この違いは、原因となる血栓の成分が異なるため、それぞれに効果的な血栓予防薬を用いる必要があるからです。

血栓を防ぐには、以上の薬のなかから、患者さんの状態に適したものを医師が選び、用います。

薬は予防のために長期にわたり、服用することになります。

アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞には抗血小板薬

動脈にできる血栓は、血液中の成分の1つである血小板が集まってできます。

抗血小板薬は、血小板の凝集を抑えて、血栓ができるのを防ぐ働きがあります。

アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の予防には、この抗血小板薬が用いられます。

主な抗血小板薬には、以下のようなものがあります。

アスピリン

解熱鎮痛薬として知られていますが、血小板の凝集を抑える作用もあるため、抗血小板薬として用いられています。

抗血小板薬として使用するときは、解熱鎮痛を目的とする場合よりも少ない75~150mgの範囲で用いられます。

副作用には、胃の痛みなどの消化器症状があります。

また、消化管から出血しやすくなるため、胃・十二指腸潰瘍にかかっている人や過去にかかったことがある人は、必ず医師に伝えるようにしてください。

さらに、気管支ぜんそくがある人も、長期間にわたってアスピリンを服用すると、ぜんそくの発作を起こしやすくなることがあるので、この場合も必ず医師に伝えることが大切です。

チクロピジン

アスピリンよりも血小板凝集抑制作用がやや強く、やや大きな効果があります。

ただし、副作用として、肝機能障害や白血球減少、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)が起こることがあります。

TTPはまれな副作用ですが、全身の臓器に血栓ができるというもので、死亡率が高いことから慎重に用いることが義務づけられています。

もともと肝機能障害がある人、白血球や血小板が少なめの人は服用を避けたほうがよいとされています。

これらの副作用は、服用開始から2ヶ月以内に発生することが多いので、服用開始から2か月間は2週間ごとに血液検査を受けることが必要です。

ただし、長期間飲みつづけている人の場合は、副作用の心配はほとんどないといえます。

クロピドグレル

2006年に登場した新しい抗血小板薬です。

商品名はプラビックスです。

クロピドグレルは、チクロピジンと同程度の血小板凝集抑制作用がありますが、チクロピジンに比べると、肝機能障害やTTPなどの重大な副作用が比較的少ないことが長所です。

シロスタソール

もともとは閉塞性動脈硬化症の治療薬として用いられていた薬ですが、脳梗塞の再発予防にも効果があることから、使用されるようになりました。

血小板凝集抑制のほか、抗動脈硬化作用や血流改善作用があることが報告されており、この点からも脳梗塞再発予防に適している薬です。

チクロピジンのような重篤な副作用はありませんが、頭痛と頻脈がかなりの頻度で見られるので、頭痛持ちの人や不整脈がある人は避けたほうがよいでしょう。

心原性脳塞栓症には抗凝固薬を用いる

動脈にできる血栓は、血小板が主体です。

そのため、抗血小板薬を用いるのですが、心原性脳塞栓症のように心臓内でできる血栓は、それとは異なります。

この場合は、フィブリン線維が主体の血栓です。

そこで、フィブリン血栓が原因となる心原性脳塞栓症の予防には、抗凝固薬を用います。

使用される薬は、ワルファリンです。

ワルファリンは抗血小板薬よりも作用が強く、また、効きすぎると出血しやすくなるという副作用があります。

そのため、服用する量の調整がむずかしい薬です。

副作用を防ぐためには、受診のたびに血液検査を行って、血液の固まり具合を調べ、服用量を微調整します。

心房細動の患者さんでは一般に、国際標準化比率(INR)の指標で、2.5を目標に2.0~3.0になるように調整しますが、高齢者では2.0を目標に1.6~2.6の範囲内に調整します。

心臓に人工弁を使用している人や脳卒中のリスクが非常に高い人は、3.0を目標に2.5~3.5の範囲内で調節します。

このように厳密に調節して用いる薬なので、服用の注意は厳守してください。

抜歯に際もワルフアリンは服用して

ワルファリンには血液が固まるのを防ぐ作用があるので、出血したときに止血にやや時間がかかるという性質があります。

そのため、以前は歯の治療のために抜歯をしたり、内視鏡検査などで出血を伴うような場合には、ワルファリンの服用を一時的に中止することがありました。

しかしながら、ワルファリンの服用を中止することによって、脳梗塞を発症する危険が高まるため、現在では大量の出血を伴う大きな手術でなければ、ワルファリンの服用は中止しないことになっています。

したがって、抜歯や内視鏡検査を受けることになった場合は、まず、主治医にその旨を報告し、そのうえで担当の歯科医や医師にワルファリンを服用していることを報告して、服用を続けながら対処してもらうようにしてください。

また、それに対処できる、しかるべき医療機関で治療や検査を受けることを患者さんの側でも心がけることが肝心です。

なお、開腹・開胸手術などの大きな手術を受けるときは、抗血小板薬(アスピリンなど)、ワルファリンともに一時的に服用を中止することになります。

血液検査を行ってINRの数値を確認しながら、服薬を調整していきます。

中止する期間は、薬の種類によって異なります。

この場合は医師の指示に従ってください。

ワルファリンを中止すると危険な場合には、入院してヘパリンの静脈注射を行うこともあります。

ワルフアリンの服用中はビタミンKの摂取に注意

ワルファリンは、ビタミンKの働きを阻害して、血液が固まるのを抑える薬です。

したがって、服用中は薬の作用を弱めるビタミンKの摂取に注意する必要があります。

納豆は、ビタミンKの合成を促す納豆菌を原材料としているので、食べないようにします。

また、緑黄色野菜にもビタミンKが多く含まれているので、緑黄色野菜を1度に大量に食べたり、青汁ジュースのようなものは飲まないようにするなどの注意が必要です。

健康食品やサプリメントのなかにもワルファリンの作用に影響を及ぼすものがあります。

その代表的なものがクロレラです。

ビタミンKが多く含まれているので、摂取しないようにしてください。

また、セントージョーンズーワート(セイヨウオトギリソウ)が配合されているサプリメントも摂取しないでください。

セントージョーンズーワートは、気分を明るくさせたり、元気を出すためのサプリメントとして近年多く登場していますが、ワルファリンの作用に影響を及ぼすことが明らかになり、注意が呼びかけられています。

健康食品やサプリメントは薬ではないので、うっかり摂取しがちですが、ワルファリンを服用している人は成分表示をよく確認する習慣をつけるようにしましょう。

これらを摂る前に医師に相談することも忘れないでください。

同様に市販薬も要注意です。

かぜ薬にはワルファリンの作用を強める成分が含まれていることがあるので、勝手に服用しないで、事前に必ず医師に相談してください。

そのほかにも、ワルファリンの作用を強めたり、弱めたりする薬剤が多種類あります。

ワルファリンの服用中に、何か薬を服用する場合は必ず医師に報告し、医師の指示に従ってください。

再発予防には予防薬を正しく服用する

再発した患者さんのなかには、これらの薬を正しく服用していなかった人が多く見られます。

生涯、薬を服用することに抵抗がある人もいますが、再発予防には不可欠の薬であることを理解しておきましょう。

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