
脳梗塞の危険因子を厳格に管理する
危険因子となる病気をコントロールする
高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、心房細動、喫煙といった危険因子が1つでもあると動脈硬化が進行し、血栓をつくりやすくなります。
脳梗塞を起こした人は、複数の危険因子を持っていることも多く、再発リスクが高いといえます。
危険因子を改善するには、食事や生活習慣の改善が必要ですが、高い再発リスクを低下させるには、薬物治療も行う必要があります。
高血圧は降圧薬と食事で下げる
高血圧は、すべてのタイプの脳梗塞の危険因子です。
再発を予防するには、収縮期血圧が140mmHg未満、拡張期血圧が90mmHg未満になるようにコントロールします。
この目標を上回っている場合は、降圧薬を服用し、積極的に血圧を下げます。
血圧を自己管理するには、毎日家庭でも血圧測定をする習慣をつけましょう。
朝、起床後トイレをすませてからと、夜、就寝前などの決まった時間に、家庭用の血圧測定器(上腕で計測するものがよい)で計測し、記録をとっておきます。
毎日、自分の目で数値を確認することで、より目標が明確になります。
また、家庭での血圧測定は、病院での測定だけでは見つけられない白衣高血圧(医師の前で測るときに血圧が高くなる)や、仮面高血圧(病院では低いのに、職場や家庭内では血圧が高い)の発見にもつながります。
降圧薬の服用量を調節するときにも参考になるので、ぜひ家庭で血圧測定を行ってください。
高血圧を改善する食事療法と日常生活の注意。
糖尿病の人は食事療法が重要
糖尿病の場合は、第一に食事療法で血糖値をコントロールすることが大事です。
自己流ではむずかしいので、糖尿病のための食品交換表を利用して、食品のエネルギー、栄養成分を把握して食事をする習慣をつけます。
糖尿病の食事療法では、医師や管理栄養士から食事や栄養の指導を受けることも必要です。
食事療法だけでは血糖コントロールができないときは、インスリン注射や経口血糖降下薬が必要です。
血糖値のコントロール状態を知る指標となるのは、ヘモグロビンAlcの数値です。
この数値は、過去の血糖コンロトールの状況を示す指標です。
この数値が7%未満になるようにコントロールします。
脂質異常症は薬でコレステロールを下げる
脳梗塞の再発予防には、総コレステロール値を200mg/dl未満に下げることが必要です。
特に、悪玉のLDLコレステロールが基準値より高く、善玉のHDLコレステロールが低い場合は脳梗塞を起こしやすいので注意しましょう。
また、中性脂肪も動脈硬化を促進するので、高中性脂肪の人も油断は禁物です。
コレステロールや中性脂肪を下げるには、食事で摂る動物性脂肪を減らし、さらに運動をすると効果的です。
中性脂肪が高い人は、甘いお菓子や果物の食べすぎ、大量の飲酒を控えてください。
肥満は中性脂肪を増やし、HDLを減らしてメタボリックシンドロームの原因となります。
減量すると中性脂肪が減り、HDLは増えるので、肥満のある人は食事と運動により減量に努めてください。
食事や運動で改善されないときは、薬物治療を行います。HMG‐CoA還元酵素阻害薬のスタチン製剤が有効です。
スタチンはコレステロールを下げるだけでなく、脳梗塞の予防にも効果があることが報告されています。
心房細動かある人は抗凝固療法を必ず行う
心原性脳塞栓症の最大の危険因子は、心房細動です。
心房細動があって、すでに脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)を起こしたことのある人は抗凝固薬の服用を続けることが肝心です。