脳出血

大事な人を脳出血から守るために

命の守り手はあなたです

脳出血は放置すると命に関わる病気です。

生活態度の改善や、検診をまめに受けると言った努力はご本人様がなさるべきことです。

しかし、もし脳出血が起こった時には、痛みや意識障害で患者は何もできません。

周囲の方が気が付いて救急車を呼ぶ、AEDを使う、心肺蘇生法を行う等をして医療の専門家が患者のもとに来るまで、患者さんの命の灯を消さないことが大切なのです。

応急処置を行う際に、もし失敗したらどうしようと思って動けない人がいます。

助けを呼ばれても他の人が行くと思って、通り過ぎてしまう人がいます。

しかし、あなたがそう思うということは、他の人もそう思うという事です。

倒れている人を見つけた時には、こう考えてください。

「自分が動けば他の人も動く」と。

誰かひとりでも動きだせば、その場にいた他の方も各々自分ができることを探し出します。無関心は愛から1番遠い悲劇です。

救命措置については、文字で見るよりは消防庁の講習などに通って、体で覚える方が早く身につきます。

もし、応急処置の仕方が分からない場合は、とりあえず119番に通報し、患者さんに声をかけ続けてください。

意識が残っている人には、意識を、自発呼吸がある人には自発呼吸を失わせないことが、人命の救助に繋がります。

脳出血の場合、
体を揺さぶるのは大変危険ですから、
手の甲をつねる、
耳元で大きな声で叫ぶ、
自分の名前や生年月日を言ってもらうという方法で、

患者さんの意識を清明な状態に近づけるようにしてください。

脳出血 おかしいなと思ったら救急車

激しい頭痛、噴き出すような嘔吐、突然の意識不明、失禁こういった症状があらわれた場合は、一刻を争います。

その場にいた方がすぐに救急車を呼んでください。

これは、携帯電話が普及してからよく起ることなのですが、
たまに気が動転されているためにご自分がおられる場所を言わずに電話を切ってしまう方がおられるそうです。

GPS機能等便利な機能が携帯電話には付随しているので、
場所を特定することも理論上は不可能ではないのですが、その携帯電話を持ったまま、通報者がうろうろしてしまっては何の意味もありません。

通報したら、その場を絶対に動かない、その心がけをお願いいたします。

可能ならば、心肺蘇生にあたる人、通報する人、AEDを持ってくる人、と3人ほど救護者がいるとスムースに応急処置が行えます。

外で倒れた方がおられたら「病人です、処置をするので手伝ってください」と叫んでください。

もし、状況がここまで切迫していなくて救急車を呼ぶべきか迷った時には、救急相談センター、救急安心センターに電話をしてください。

♯7119等でつながります。

これは、現在疾患を抱えていない方のご家族も覚えていていただきたいのですが、
患者さんの中には家族との連絡が取れず、必要なオペをすぐに始められない方もまれにおられます。

酷いと処置室に5時間とどめ置かれる方もおられるようです。

必ずつながる連絡手段を書いた紙を財布の中にでも入れておく(携帯電話は倒れた衝撃で壊れるとアウトです)と後がスムースです。

脳出血 一緒に検診に行きましょう

読者諸兄、諸姉の皆さまは脳ドックを既にお受けになったでしょうか。

ある程度の年齢になられた方はお受けになることをお勧めします。

脳ドックの費用は数万円と決して安いものではないのですが、
お身内に脳出血で倒れられた方がおられる場合は、ご家族お誘いあわせの上で、脳ドックをお受けになった方がよろしいかと存じます。

脳出血と遺伝の相関性は、医師によって見解が違うのですが、
脳出血の原因のひとつとされる脳動脈瘤には一定の遺伝性があると言われていますので少しお気をつけて頂いた方がよろしいでしょう。

私事をのベさせていただきますと、筆者は脳疾患で母方の祖父を亡くしました。

前日まで元気だった祖父は、近くに住む叔父がおとなった時には台所で倒れ既にこと切れていました。

難病の妻(祖父に家督を捨てさせたほどの恋妻です)を残してのことです。

私たち家族が、脳出血の所為でなくなったのだと知ったのは、検死官の意見書によってのことでした。

唯一の救いはあまり苦しまなかっただろうというお見立てと、久しぶりに一族がそろって祖父の亡骸を囲んで時間を過ごせたことです。

私は、皆様に私たち家族のような思いをしてほしくはありません。

動脈瘤の状態ならば、破裂を予防する手術が可能だそうです。

どうか、お体に少しでもご不安があるのならば、躊躇わずに、検診をお受けになってください。

誕生日などに互いに費用を贈りあいましょう。

どうしても行きたがらないおじいちゃんにはお孫さんが声をかけてください。

大体のじいじはこれで折れます。

脳出血と人格

大変有名なSF小説に『アルノージャンに花束を』と言うものがあります。

これは、脳手術の実験台にされた主人公の人格が知能指数の上昇と引き換えに変容してしまう姿を描いたものです。

実は、現実に脳出血の後遺症で人格が変化してしまうという事例が幾つか報告されています。

この傾向は、特に前頭葉、側頭葉と言った感情や理性を司る部位に損傷が起きた場合特に顕著になると考えられています。

また、
高次脳機能障害と言い、
言語の消失、
半側無視(右左どちらか片方のものを認識できない)聞いた音が何なのか分からない、
注意力が下がる等の変化が起きることもあります。

うつ病様の症状が出る方もおられます。

こういった変化は、周りの人を困惑させ、時に苛立たせることがあります。

特に今まで、何でもできて、ワンマンだった人が
突如何もできなくなったあとにはそれまでの怒りをぶつけるように、叱咤し、何か失敗をするごとに冷たい態度をとるご家族の姿を見ることがあります。

読者の皆様には今1度お聞きしたいのですが、あなたの愛する方は「何かできる」から愛すべき存在ですか。

それとも「その人だから」愛せる存在ですか。条件付きの愛情では何かあった時たとえば脳出血で倒れた場合、家族が崩壊する恐れがあります。

もし、何もできなくなっても、人格が変容してしまったように見えてもその方は、あなたの最愛の相手です。

そのことだけは忘れずに日々をお過ごしください。

共倒れは禁物です

脳出血は、場合によっては認知症や、重い運動障害を患者さんの身体に残すことがあります。

その場合、配偶者、お子さん、兄弟姉妹、患者さんの御年齢によってはお父様、お母様と言った近しい方が、看護介護にあたることになります。

筆者は介護や障害者支援に携わってきました。

そして難病のため終末期にある祖母がおり、脳出血で祖父を亡くしています。

病気もしくは障碍を抱えた方のご家族は、皆様、大変献身的に看護をなさいます。

中には、自分が休んだり楽しんだりすることに強い罪悪感を持ち、ご自分の生活を無になさる方もおられます。

それは大変美しい愛情の形なのですが、時にその献身が共倒れと言う事態を引き起こします。

今、病気のご家族を抱えておいでの方には大変酷ないい方かもしれませんが、
あなたが患者さんの枕辺に、ご自分の睡眠時間を削ってついていても、あなたの力で症状が改善するもしくは意識が戻るということはまずありません。

患者さんのお命が危ない危篤状態でもない限り、1度家に戻って、入浴して、きちんと栄養のある食事をとって、体を休めてください。

病人の看護者には、見舞客の応対など、沢山の仕事が待っています。

また、回復なさった方の生活管理を1番よくできるのは、自分の身を削ってでも傍につきたい、そう思っているあなたなのです。

今、あなたの心を占めているその方のために、まずはご自分の身体と心を守ってください。

医療機関、介護施設の職員は、どんな時でも皆様のご相談を受け付けます。

痛みをご家族様おひとりで負わずに共にになわせていただけることを福祉職のものは願っています。

脳出血 もしも医療費に困ったときは

縁起でもない話をするなと言うお叱りを受けるかもしれませんが、我が国は自殺者が大変多い国です。

ご自分の意志で亡くなった方の生活状況をみてみますと、ご自身もしくはご家族の健康問題、経済苦などが上位に挙がっています。

また自殺にまで至らなくとも、経済的な不安から治療をお断りになる方が病院では多くなってきています。

筆者の知人には年若い医師がいるのですが、本当に重症で命の危険があるのに、治療を渋る方の説得に1晩かかったことがあるそうです。

医師にとっては、治せる患者さんが病気を抱えたまま、病院を去ることほど悔しいことはありません。

助かる病気の人がお金のために命を失う、そういうことが今、この日本で起っているのです。

読者の皆様にとって、そういった困窮や欠乏が遠いものであることを祈ります。

ですが、もし世帯の働き手が動けない状況にあり、医療費の未払い等の問題にぶつかった時のために次のようなことを覚えておいてください。

まず、医療費の支払いは、事前に相談すれば待ってもらえることです。

ある程度の大きさの病院ならば、ソーシャルワーカーが相談窓口を開設しています。

家庭の事情を話し、返済計画も伝えれば入院費や手術代の分割払いに応じてくれます。

また、公的な制度として、国民健康保険の3割負担の医療費は特別な事情があるとみなされた場合、支払額の減免を行なえるというものもあります。

どのような状況であれ安んじて治療に励んでください。

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