
椎間板ヘルニアの予防
リハビリ
椎間板ヘルニアは、背骨にある椎間板が変形してしまい神経を圧迫することによって引き起こされる痛みの症状です。
私たちの背中は椎骨といわれる骨が重なるように形作られています。
椎間板は椎骨の間にあるクッションの役割を担っているものです。
ヘルニアは、椎間板の中にある髄核という部分が殻の部分である繊維輪を破って外側に出てしまう、または変形してしまうことから起こります。
ヘルニアは、投薬や安静、牽引などの保存療法、そして手術やレーザー治療などの外科的処置を行うこともあります。
ヘルニアは多くの場合時間が経てば、症状は和らぎます。
変形した部分に他の体の部分が慣れてきて痛みの出にくい態勢を作り出すからだと言われています。
時間が経っても症状が和らがない場合には外科的な処置がとられます。
症状が緩和されてからも、変形した椎間板はそのままなのですから、いつ症状が再発してしまうかわかりません。
再発のリスクを減らすためにも、術後のリハビリをきちんと続けることが大切です。
ヘルニアの再発防止のために大切なのは、筋力をつけることです。
筋力をつけることで、背骨のまわりを固定して神経を圧迫する可能性を低くすることができます。
腹筋、足の筋肉はもちろん背中の筋肉もつけることが大切です。
筋力をつけるといっても急激な運動をする必要はありません。
ウォーキングを習慣化することで無理なく体に筋力をつけることができます。
普段はバスに乗ってしまう短距離を歩くようにする、または階段を意識して使うことなどを心がけましょう。
正しい姿勢
椎間板ヘルニアは、骨と骨の間にある椎間板が変形してしまい痛みを引き起こす症状です。
椎間板ヘルニアの治療には様々ありますが、根本的に変形してしまった椎間板が元にもどるということはありません。
椎間板ヘルニアを発症した後は、体の他の部分に気を付けることで再発をしないように心掛ける必要があります。
椎間板ヘルニアの痛みが軽減され、完治したと感じるくらい痛みを感じにくくなるのは、体の他の部分に筋力がついたり、自然と体が椎間板による神経への刺激をしないような姿勢を取るようになることによるものと考えられます。
椎間板そのものは治らないのですから、筋力が低下したり、ふとしたはずみで椎間板ヘルニアの激痛が再発してしまう可能性はとても大きいのです。
そのようなことを避けるためにも大切なのは正しい姿勢をみにつけることです。
正しい姿勢をすることで、必要な場所に筋力が付き、一か所に負担がかかるとったことがなくなります。
人間の背骨は側面からみると緩やかなS字のカーブを描いており、これは生理湾曲と呼ばれています。
このカーブが崩れると体のどこか一点に負担がかかってしまうのです。
背骨の一点に負担が多くかかってしまうと、腰痛を引き起こしたり、椎間板ヘルニアの原因にもなります。
立っている時には、頭のてっぺんの部分が天井から糸でピンとはられているイメージをしましょう。
そして顎を適度に引きます。
カイロプラクティックや鍼灸院などにいって自分の姿勢をチェックしてもらうのもよいでしょう。
腹式呼吸
椎間板ヘルニアの発症や、再発を予防するには何が大切なのでしょうか。
もちろん正しい姿勢や適度な運動など体に良いことをすることは大切です。
その中でも、関係性が案外薄いのでは、と思われがちなのが呼吸です。
特に腹式呼吸をすることは、椎間板ヘルニアの予防にとても効果的です。
腹式呼吸は、腹筋を鍛えることにつながります。
そして腹腔内圧を上昇させることもできます。
椎間板ヘルニアの人が一番必要なのは、腹筋や背筋の筋力です。
筋力をつけることによって骨の変形をサポートして痛みを失くすことができます。
しかし椎間板ヘルニアを患った人は腹筋や背筋などをたくさんすることができません。
また痛みがある時には、そのような運動ができないのが当然です。
したがってゆっくりではありますが腹式呼吸を継続して行うことで、筋力をつけるのが最適なのです。
体の基盤をささえることができるのは、腹筋、背筋、そして腹腔内圧の力です。
腹腔内圧はお腹に力をいれた時に固くなる部分と考えましょう。
体の芯の部分を鍛えることで、効果的に堅固な体を作ることができます。
腹式呼吸は、鼻から吸って、口から吐くことを繰り返します。
まずへその下に手を置いて、手を置いた部分に意識を集中させるようにイメージをします。
そしてそのまま鼻から深く息を吸います。
この時お腹を息を吸い込むほどに膨らむようにします。
それ以上吸えなくなるまで息を吸い込んだら、ゆっくりと少しずつ息を口から吐き出します。
お腹の深部に意識を集中することがコツです。
ウォーキング
椎間板ヘルニアは、私たちの背骨の骨の間にあるクッションの役目をしている椎間板に異常が起こる病気です。
椎間板の中にある髄核という部分が外に飛び出したり、変形することで、背骨のすぐそばにある神経を圧迫して腰に激痛をもたらします。
また下半身のしびれが起こったりもします。
発症してからは時間をかけて治療します。
安静や投薬などの保存治療がまず行われます。
症状の改善が見られない重症のヘルニアには外科手術も行われます。
椎間板ヘルニアで一番大切なのは、背筋と腹筋を鍛えることです。
背筋と腹筋を鍛えることで、椎間板ヘルニアになってしまった椎間板のまわりに筋肉をつけることができます。
その筋肉が、背骨を支えて痛みを抑えてくれるのです。
しかし椎間板ヘルニアを発症した後には、腹筋や背筋のトレーニングは痛みを伴いますので、なかなかしにくいものです。
そのうえ、つらいトレーニングは継続して行うことが難しいです。
したがって、無理なく腹筋と背筋を鍛えていけるウォーキングが推奨されます。
効果的なウォーキングには何点かの注意点があります。
まず最初に、歩行する時には親指をまっすぐに前に出し、左右の間に一本の線があるというイメージで行います。
そして着地をする時にはかかとから着きます。
上半身では、肘を曲げて後ろまでしっかりと引きます。
手の親指は上に向けます。
この歩き方で平らな場所を30分から40分程度ウォーキングしましょう。
椎間板ヘルニアの症状を再発させないためにも、適度な運動で筋肉をつけることを心がけましょう。
腰痛ベルト
椎間板ヘルニアでは腰痛ベルトやコルセットというものがよく使われます。
コルセットはほとんどの方が一度は見たことがあるのではないでしょうか。
女性用の肌着でもコルセットは使われます。
腰痛ベルトは多くの場合、固めの少しストレッチのある素材でつくってあるベルトで腰を包むように密着させて、お腹の前方の部分でマジックテープを用い留めるようになっています。
これは椎間板ヘルニアだけではなく、広く腰痛のある人に使われています。
では椎間板ヘルニアの人はなぜ腰痛ベルトが必要なのでしょうか。
それは、腰痛ベルトをつかって腰をサポートすることによって、本来は筋肉が行わなければならない機能の代替としているからです。
椎間板ヘルニアの方にとって一番大切なのは腰回りの腹筋や背筋などの筋肉です。
腹筋、背筋が衰えることによって、本来筋肉が支えていなければいけない部分でも背骨に頼るようになってしまうと、背骨に負担が多くなり椎間板ヘルニアを引き起こしやすくなるのです。
したがって急性期の椎間板ヘルニアの患者の場合には、腰痛ベルトはとても有効です。
ここで大切なのは、腰痛ベルトを用いて症状が楽になったからといって体が快方に向かっているわけではないということです。
腰痛ベルトは、本来あるべき筋肉の代わりとなっているもので、外せばもとの背骨に負担をかける状態に戻ってしまいます。
それゆえ、急性期を過ぎてからは自分で腹筋や背筋をつけることが大切です。
そのためにもウォーキングなどの適度の運動を心がけましょう。